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だから、俺は笑うんだ。
お調子者でも何でもいい。俺はあなたの信頼のお置ける“相棒”でいたい。
「……よろしくお願いします。でももう俺も巡査部長ですからね? 前みたいにお茶汲みやパシリはしませんよ!!」
『お茶汲みはともかく元々パシリなんてやってないだろ!! ……まったく、物怖じしないのは相変わらずか』
俺は電話口で苦笑いする。
――――結城部長、逆だよ。俺には怖いものばかりだ。
人間関係をリセットするのが怖くて、俺は言いたいことを言えずにいる。好きだという気持ちも、複雑に絡み合うもどかしい感情も。
「……それが俺の持ち味っすからねぇ!!」
ちゃんと笑えてるはず。俺は何年も結城部長の相棒としての自分を崩さぬようにしてきたのだから。
『……無理はするなよ』
穏やかな声色。
その言葉が、俺の嘘とか全てをわかった上での言葉なのか、今回の体調のことだけを指しているのかはわからなかった。結城部長は何も気付いていないようで、案外気を遣ってくれる人だから。きっと顔を見ればわかるのに。
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