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 それほどまでに大切な頼さんを――――俺は深く傷付けてしまった。  最初は、再び頼さんの顔を見られただけで胸がいっぱいだった。とにかく嬉しかった。ずっと俺の記憶の中にいた頼さん。ほとんど変わらない、あのときのままの頼さんがいた。  周りに高鳴る胸の内を悟られぬよう、素知らぬ顔して刑事課での挨拶に臨んだ。新人だけど、頼さんに気が付いてもらえるように、堂々となるべくハキハキ挨拶した。俺と目が合って驚いたような頼さんの顔を見て、覚えててくれたんだって更に嬉しくなって。俺は少しだけ、調子に乗ってしまったんだ。  本当にただ話をしたくなった。5年の月日を少しでも埋めたくて。2人きりで心置きなく話したかったから、何かしら理由を付けて待ち合わせして、まんまと2人きりになって――――。  5年前と同じ公園で、2人でブランコに乗った。  俺は幸せだった。幸せだったあの頃と同じように、頼さんの隣にいられること。  まるであの頃に戻ったようで、俺は父のことも母のことも悪い夢なんじゃないかって思えた。こうやって頼さんの隣にいることだけが真実なんじゃないかって、そう思えることが堪らなく幸せだった。  飲みに誘ったのは、本当に俺のわがままでしかない。もっと話したい、もっと一緒にいたい、ただそれだけで――――。
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