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――――やっぱり、頼さんが欲しい。
身体だけじゃなくて、心も全てだ。
恨みや憎しみの感情で傍にいたい訳じゃなくて。顔を見たくないと言われるような関係になりたいんじゃなくて。
一方的な愛情じゃなくて、俺も頼さんに愛されたい。
どうしてそんな簡単なことに今まで気が付かなかったのだろう――――?
いつも、求められることには何でも応えてきた。得たいものは何でも得てきた。それなり努力してきたつもりだし、そういう何でも自分の力で手に入れるのが当たり前だと思ってた。
だけど、俺は――――。
この世で一番手に入れたいと思っていた人を自らの手で失ったのではないか。
どんな物よりどこの誰よりも自分に必要な、生きていく力になってくれていた人をこれ以上ない程に傷つけてしまったのではないか。
もう二度と、頼さんの心は手に入らないのではないか。
俺は一人ベッドの上にうずくまり、声を上げて泣いた。
好きだ、好きだ、頼さんが好きだ――――
まだ頼さんの香りが残るベッドが余計に悲しくて、俺は泣き叫ぶしかなかった。
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