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その彼が今、目の前に立っている。
誰も文句がつけられないような立派な大人になって。
しかし、これは本当にあの浅見律なのか――――?
俺の記憶の中にいる彼とはあまりに違っている。
隣に並ぶ2人と比べると大分背が高いようだ。女の子となんて頭一つ違う。180センチはゆうにあるだろう。
すらりと長い手足は相変わらずだけど、肩幅も広くなり、程よく筋肉がありそうな均整のとれた体つきに見える。
簡単に言えば、“男らしい”体つきになったのだ。あの頃の中性的な少年らしい体とは全く異なる。
眼鏡も掛けてない。
そんなものはコンタクトにしただけなのだろうし別に珍しくも何ともないのだが、彼の場合は重要なことだと思う。
――――あまりに整いすぎていて。
色白は相変わらずだ。本当に警察学校の屋外での訓練に耐えてきたのかと疑いを持つくらい、透き通るように白い。
何より顔で印象的なのは、その瞳である。色素が薄い茶色の瞳は大きく、長いまつ毛で縁取られて、よりはっきりと見える。
眼鏡がないとここまで威力を発揮するのか。前から綺麗な子だとは思っていたけど。別に目を合わせて話している訳でもないのに、美しい瞳に引き込まれそうになる。
他人の容姿をこんなにも事細かに分析してしまうなんて、容姿にあまり興味のない俺にしては稀だ。
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