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 当たらずしも遠からず、というところだろうか。確かに俺は結城部長が来ることに少なからず心を乱している。  でもそれは、片想いの相手である結城部長が来ることに対してというより、俺のことが好きだと俺を抱いた浅見がいて、そこに更に俺が好きな結城部長が来て、というシチュエーションが嫌なのだ。意識するなという方が難しい。 「……まさか。もう何年経ったと思ってんだよ」  だけど俺はそう答える。武川に心配をかけたくないというより、自分に言い聞かせるように。  武川は少し肩をすくめながら「ならいいですけど」と切り上げてパソコンに向かった。ひょっとしたらこれ以上詮索しない方がいいと察してくれたのかもしれない。 「……柏倉部長」 「ん……どうした?」  俺はひきつった笑みを浮かべた。いわゆる作り笑い。それもめちゃくちゃ下手くそな。  会話が終わったところを見計らったように浅見が声を掛けてきたのだ。今近付いてきた訳だから会話は聞いていないと思うし、用もないのに声は掛けてこないはずだけど。  やっぱり妙に意識してしまう。視線を合わせないようにしてしまうなんて、大人げないかな。 「本部の方がお見えです。こちらにお通ししてもよろしいですか? それとも別室にご案内を?」 「……あ、ここでいいよ」 「わかりました。こちらにお通しします」
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