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「本部の方が見えられました」  ドアの外から浅見のよく通る声が響いた。  本当にいつもタイミングがいいというか悪いというか。噂をすれば何とやらというか。完璧な人間などいないと言ったのは俺だけど、やっぱり浅見には隙がないなぁとも思ってしまう矛盾する思考。  俺は少し上擦った声で「どうぞ」と返した。  すると、ドアが勢いよく開いた。 「……柏倉!!」  ――――ああ、何年ぶりだろう。  この頭をぶつけないように少し屈みながら入ってくる癖。  無表情に見えて、口元だけに僅かに浮かべられた笑み。  大股で歩いてくるところも、変わらない。 「……結城部長!!」  何もかも昔のままだ。  想いを閉じ込めたままだからこその美し思い出が一気に頭を駆け巡る。  優しくされたことしかない。  やっぱり好きだ。そういう感情しか湧いてこない。    ――――好き、好き、好き。俺はやっぱりこの人が好き。  胸が一気に締め付けられるようだった。
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