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「久しぶりだな」
「はい、お久しぶりです!!」
「体調は大丈夫か?」
「はい!! めっちゃ寝たんでスッキリです!!」
「それなら良かった」
何の変哲もない当たり障りもない会話だけれど、俺にはそれで充分だった。すぐに阿吽の呼吸だったあの頃の感覚が戻ってくる気がした。
俺は歯を見せて笑った。結城部長が変わらず結城部長らしくあることにたまらない喜びを覚える。
「……武川もすっかり刑事じゃないか」
「ありがとうございます!! 俺ももう新人じゃないっすから、お役に立てるよう頑張ります!!」
懐かしい面子が揃って、何だか嬉しかった。
忘れかけていた感覚。心地よく仕事に没頭できる人間関係が、ここにあったんだ。
年月は人を変えていくけれど、結城部長は何も変わらない。俺が好きだった頃の結城部長のままだ。
「……柏倉部長」
呼ばれて振り向くと、酷く冷めた目をした浅見が口元に笑みを浮かべていた。
「結城部長の席はこちらでよろしいですか?」
「……あ、ああ。いいよ」
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