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「…………あれは新人か?」  浅見が出て行った後、結城部長が無表情にドアの方を見つめながらそう尋ねてきた。  俺は浅見に食い付かれてしまったことに焦りを感じつつもその問いに答えることにした。 「あ……そうです。浅見っていうんですけど」 「浅見…………随分落ち着いた新人だな。珍しい」 「そうですね。……結城部長は覚えてませんか? 俺が5年前に助けた高校生のこと」 「ああ、それは覚えてる。確か浅見外務大臣の息子…………ってもしかして、あれは……」 「そうです。それが浅見です」  結城部長は目を丸くした。それと同時に武川が身を乗り出してきた。 「えっ……?! 何それ、みんな浅見と知り合いだったんですか?!」 「いや、俺は知り合いという程でもないが……」  結城部長が俺に視線を向けてくる。それが同時に武川も俺を食い入るように見つめてきた。思わず言葉に詰まる。  俺は2人から見つめられて、少し身を引いてしまった。まさかこんなに食い付かれるとは思ってもなかった。  そもそも浅見があんな態度をとるなんて思ってもなかったこともあって、妙に落ち着かない心持ちでいたから、余計に動揺してしまう。まさかバカ正直に全てを打ち明けられるはずもないし。
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