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 ――――これは、めちゃくちゃモテるに決まってる。  俺はそんな下世話なことを考えた。  二重瞼のはっきりとした大きな目。スッと筋が通った主張しすぎない鼻。薄紅色の唇には穏やかな笑み。  ハーフと言われればそう信じるだろう。  とにかく綺麗だなってしか言い表せない。“イケメン”なんて言葉じゃあまりに軽すぎて失礼な気がした。  こんなにも変わるのか。5年で。  浅見律という月の妖精のような少年は、5年で俺よりも背が高い美しい大人に。  あまりの変貌ぶりに、まだ気持ちが追いつかない。  たった5年、されど5年……か。  挨拶を終えた3人は何やら課長と談笑していた。  女の子は課長の方を全く見ていなくて、浅見の方をじっと見上げて顔を赤らめている。  ……あー、こりゃ惚れてるな。そりゃそうだよな。こんだけハイスペックの男が身近にいたら、間違いなく好きになるよ。それはもう、誰でもね。  でも、浅見の方は全く女の子の方を見ない。もしかして、あえて見ないようにしているのか? 見つめられてるのには気付いてるはずだ。それでも全く視線を合わさず他の人と談笑している。きっと、気付いてるのに――――。  そんなとき突然、浅見が俺に視線を向けてきた。  急に目が合ってしまって、俺の胸はドキッと跳ねる。  浅見が微笑んだ。隣の女の子に見向きもしない浅見が、俺を見て微笑んでいる。  ――――5年で見た目は変わるけど、気持ちはどうなのだろう? 『頼さんのことが、好きだから』  浅見に見つめられて、俺の頭は5年前と今を往き来する混乱で満ちていた。
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