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「え、二手……?」 「こんな暑い対策室にみんなでこもってたって何も解決しないし暑苦しいだけだろ」 「まぁ……ごもっともですけど……」  結城部長は淡々ともっともな正論を言うけれど、今の俺にとっては嬉しい提案ではなかった。被疑者検挙のための仕事には嬉しい嬉しくないもないもなくて効率を上げなきゃいけない、私情を挟んではいけない、それはわかってるんだけど。 「巡査同士では組ませられないから、巡査部長と巡査で組もう」  これまたド正論で。的確な指示に異論を唱える余地はない。 「……どうする? 俺が武川と組んでもいいし、実習生の浅見でも構わない」  ――――どっちも嫌だ。  そんなこと言えるはずもないけど。  どちらにせよモヤモヤする。こんなの俺一人のややこしい感情でしかないし、間違ってるのは百も承知だ。  だって、俺が浅見と組んだら何を話せばいいと言うの? 仕事の話だけじゃ場が持たない。気まずくて仕方ない。心が疲弊してしまいそう。
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