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「……やめっ……やめろっ……!!」
ネクタイをほどかれ、次々にボタンが外されていく。その手慣れたようなスピード感に、頭が混乱する。
体を捻ってみたりはしたけれど、あっという間にほどいたネクタイで手首を拘束され、自由を奪われる。
「……口だけですね。全然抵抗してない。簡単に触れられる」
口の端をきゅっと上げて笑った浅見は、俺の首筋から胸に指を這わせた。その目は、笑っていない。
「本当に嫌がってるんだ……!! 頼むから……頼むから止めてくれ……!!」
「……力ずくで止めればいいでしょう? 頼さん、強いんだから」
俺は浅見の顔を見た。
悪びれもしないその美しい顔に、目を奪われた。
嫌なのに。こんなこと望んでいないのに。
だけど、氷のように冷たい浅見を、俺は美しいと思った。
その感情が何なのか、混乱している俺にはわからない――――
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