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『実は、そっちの強盗事件の被疑者の車両が割れてさ』 「……そうなんですか!!」  結城部長は現在、刑事部の花形である本部の捜査一課に勤務している。だから各署で大きな事件があれば出張して捜査をしているらしい。  警察官になったときから俺もいつかは本部の捜査一課に行きたいと思っていたけど、今は何だか気持ちが切れてしまっていた。  それも、たった一夜の出来事で。 『そうそう。他の管轄であった窃盗事件の被疑車両がそっちの強盗事件の手配車両に酷似してたんだ。それでいろんな画像解析してみたら、車両に乗ってた人物とそっちの強盗事件の被疑者と特徴が一致した。Nシステムも調べたけど、強盗事件のあった日にその車両が現場に向かっているのが確認できた』 「……すごい。ありがとうございます!!」  相変わらずの淡々とした状況説明。一緒に捜査していた頃を思い出した。 『……それで、俺もそっちに行くことになった』
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