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男らしい逞しい体つきの、キリッとした顔立ちの人だった。
いかにも正義感の強い人って感じ。だけどその一方で向こう見ずな人だとも思った。
俺には理解できない思考の持ち主。だってきちんと物事を損得勘定で考えられる人なら、厄介事には首を突っ込まないし、高校生をぶん投げたりしない。少なくとも、俺なら絶対助けない。
だから、助けてもらったのに『あのままやり過ごせば良かった、明日はもっと殴られる』なんて可愛いげのないことを言ってしまった。
でも、その人の反応はあまりにストレートで。
「じゃあ、助けない方が良かったってこと? 迷惑だったってこと?」
びっくりするのと同時に胸が痛んだ。申し訳なくて。こんな俺を助ける価値なんてなかっただろうに、骨折り損だね、そんなことを思った。
だから素直に謝った。俺はこんな性格だから嫌われるのだとも言った。なぜかこの人の前では素直になれた。
その人は、そんな俺に言った。
「好きだろうが嫌いだろうが、どんな理由があろうと、暴力を振るうなんて間違ってる」
両肩をぐっと掴まれた瞬間、その真っ直ぐな力強い瞳から目が離せなくなった。
「俺は、おまえが正しいか正しくないか、性格がいいか悪いかなんてわからない。今日会ったばっかりだしさ。……でも、これだけは言える。絶対に、アイツらは間違ってる」
胸の鼓動が激しくなるのを感じた。
言葉の一つ一つに目頭が熱くなるようだった。
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