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『…………大丈夫ですか?』
信じられないくらい、場違い過ぎる質問だった。
一体どの口がそう言うのか。心配そうな声なんて出しやがって。誰のせいでこうなってると思ってるのか。
思わず頭に血が上り、「はぁ?」と冷たく言い放ってしまった。
『田中係長から体調不良と聞きました。それで心配になって昼休みに電話を……』
「おまえ………」
“ふざけてるのか”と怒りに任せて言いそうになったところを浅見の言葉に遮られた。
『ごめんなさい』
たった一言、まるで子どもが母親に謝るかのようだった。
こんなに素直に謝られるとは思っていなかったので拍子抜けして、次の言葉が出て来なかった。
『……加減、できなかったから』
俺はさらに絶句した。
え、そっちなの? そもそも抱いたことを謝りたかった訳ではなくて?
『……痛いですか、身体。ごめんなさい。どうしても加減ができなかったんです。頼さんを……抱いていると思ったら』
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