店番

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「あの、僕、小学校の頃よくここに通ってたんです。仕事回りでたまたま通りかかったもんですから、つい懐かしくなって立ち寄ってみたんですが……」  女の人は驚いてはいたものの、嫌な顔一つせず「ええ、ええ」と頷きながら僕の話に耳を傾けてくれていた。  そして、口元を押さえて目を丸くする。 「あら、まぁ……ホントに?こんな日に、こんなことってあるもんなのね」  こんな日──彼女の言葉に引っ掛かり、僕は店内に視線を這わす。 「あの、もしかして……お店、閉めちゃったんですか?」  声を窄めると、彼女は残念そうに淡く笑って頷いた。 「……そう、もうね、おしまいなの」  ──おしまい。  まるで、子供に絵本を読み聞かせているみたいな語調だった。
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