紙の本はオワコン

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 やれやれ追想にふけってしまった、次へ行こう。 …………おお。 ライトノベルコーナーである。 ふむ、私に似た風貌の客が本を吟味しておるな、良きかな良きかな。  思い出すは私が中学生のころ。 ライトノベルは今でこそ本の主流ジャンルであるが、当時はそこまでではなかった。 言わば、知る人ぞ知る、みたいな感じであった。 私はあまり小説を読むほうではなかったが、可愛い女の子の表紙に惹かれて初めて ライトノベルを購入した。 その内容は、ライトと呼ぶにはあまりにも濃厚過ぎる世界設定、絶妙な甘いボーイミーツガール、魅力的な生きているキャラクターたち。 そして、ページの合間に挟まれる美麗な挿絵。 ラストは、ヒロインが生死不明のまま終わるビターエンド。 それからはライトノベルにはまって色々読んだなぁ、今はあまり読まないが。  つつーー……。 生温い液体が頬を伝う。 あれ、私、泣いている……? 昔を懐かしんで泣いているのか。 萌え絵でいっぱいなライトノベルコーナーで涙を流している中年が一人。 それでも、涙が止まらないのだ。 ついでに、おならも止まらない。
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