18 もうひとつのダンデライオン

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18 もうひとつのダンデライオン

犬川貯水池。 そこは、静かなる所 水面に映える多種多様の色々 天鵞絨ビロードの森 紺碧こんぺきの空 胡粉色ごふんいろ浮雲うきぐも 凡てがはえり 凡てが綯交ないまじる 混ざり合った水面を 日の光が耀かがやかせる  聞えてくるのはセミの鳴き声  人の気配など微塵も無い  有るのは獣や虫たちの気配のみ  そして静寂  静寂打ち破る機械音  そしてわだちを造る音  人の気配  森の中から一台の車  自然の気配を打ち破り、私たちが乗った1/2トントラック(パジェロ)。  緑の色を明るく放つ植物をまとったせき。  池の水を溜め置くせき近くに車を止める。  降り立って、郡山が第一声をほとばしる。 「うわぁ! いい所ですね。こんなに綺麗なのに誰も来ないなんてもったいないですよ」  山崎さんは呆れた笑顔になっていた。 「都会の人は皆、始めはそう言うんですよ。でも、地元の者にしたら見慣れている景色ばかりで面白味も何もないんでね。ここを観光の名所の一つにしようなんて思わないんですよ」
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