20 オーナメンタル ケール(違和感)

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20 オーナメンタル ケール(違和感)

「あんたら! 国は人命を保障してくれるんだろうな!」  丈り狂った調子で金武北斗の父親、金武いさみは私と郡山に吠えて来た。  親としては無理もない事だろう。  突然、北部九州原子力発電所を占拠した巨人は、彼ら五人の少年を目の前に連れて来いと脅迫してきたのだから。  言い寄って来たのは、金武勇だけではない。  他の親も同様に、我が子を護りたい一心で私に言い寄って来た。 「これから国はどのような対応をするのですか?」  そう言ってきたのは、志藤正樹の父親、志藤英雄ひでお。  家族に関しての調査報告書では、彼は設計事務所を経営してシングルファーザーとして息子である正樹を育てている。母親は、正樹を生んで2年後に病死している。母親が残した息子を心配するのは当たり前の事だろう。しかも、経営状態は悪くはないが良くもないという状態で、会社の経営と育児の両立を果たしてきている。  さぞ、苦労してきたのだろう。 「うちの子をあの巨人に連れて行く気なんですか!」  音無千夏の母親、音無鈴和れいかが私に縋り付いてきた。  彼女は、喫茶店を1年前から経営している。喫茶店設立には志藤英雄と金武勇の二人が協力して、一部準備金として出資している。音無鈴和の親族は、鈴和の両親が多額の借金を背負っていて、現在行方不明になっているために彼女が子供を身ごもった時は冷ややかな態度をとったと言われている。その後、彼女は金武や志藤の協力の元、千夏を育てた。  だから、この三人は仲が良く、子供たちも幼いころから仲が良かった。 「お願いです。うちの子を助けて下さい」  今度は、金武北斗の母親順子が音無鈴和と同様に縋り付いてきた。  彼女は、報告書によると強気の女性であり、夫である勇より会社内では一目置かれている女性で社員の面倒は、彼女の方が良くしておりおっと勇より信頼されている。そんな彼女がなりふり構わずに我が子の為に縋り付いて来ている。  余程の事でないとこんな態度は見せないだろう。我が子に対する愛情が窺い知れる。  しかし、こうも言い寄られては話が進まなくなってしまう。  郡山も同じ考えで、言い寄ってくる親たちに落ち着くように言葉を投げかける。 「これからお話しますので、落ち着いてください!」
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