4 持ち続けるアイリス(優しい心)

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 部屋の壁全てに外の景色が()えている。  二人がまるで宙に浮いているよう。  巨人が歩く度。  見える景色は斜めに右へ左へと動く。  ですが、不思議な事。  部屋は重力の物理法則を無視していました。  景色が右に傾いても。  左に傾いても。  その方向に重力を感じない。  動いている振動さえも。  まるで、家で寛いでテレビの画面で揺れる景色を見ているようです。  紫苑は、異世界に行く前にやっておきたい事がありました。  その為に彼女がいかに無敵かを知る必要があります。  それには町を破壊する事が一番でした。  町を壊せば、国は自衛隊を出動させる。  彼女と戦わせれば自ずと判る筈。  アマランスの無敵ということが……  何故なら、ウルズの言う『無敵』は如何程(いかほど)か。  それは知っておかなければならない。  そして、その『無敵』と言われる力。  それから、この国の力。  その差異を見極めねばならない。  紫苑は、アマランスの能力を知った上で、これからする事をしっかり考ようと思っていました。 (おかしなもんだな。)  紫苑は、死ぬ前だったらこんな風には考えなかったでしょう。  それは、一度も自分で何かを成し遂げようと考えた事など無かったからです。  いつも考えることは、人がいないところに逃げる事だけ……
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