5 芍薬(怒り)の花弁は空に舞う

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5 芍薬(怒り)の花弁は空に舞う

 紫苑の死をも覚悟した言葉。  言って、ウルズを見る。  キョトンとしているウルズがいる。  何か命令があると思っているウルズ。  従者であるウルズ。  命を受けるは最大の喜び。  嬉しそうに次なる命を待ち構えていました。  その笑顔は無償の愛。  しかし、紫苑にとっては、言いかけた言葉さえ閉ざしてしまうその愛らしさ。  いとけないその姿。  心まで溶かしてしまう喜びを欲する狂おしい表情。  彼女の表情が眩し過ぎました。  それは赫赫かくかくたる黄金の光背こうはい。 〔赫赫の意味:それは、耀ける黄金の光が聖者の頭の周りに放射状にすしるし]  いつしか見とれて、次なる言葉を忘れてしまう。 (か・・・可愛い)  紫苑はいつものように上気し、毛細血管は肌を紅色べにいろに染める。 「いや、何でもないです(可愛すぎるよ~)」  彼女から視線を逸らしてしまう。  今は、言えない。  話すのは落ち着いてから。  そうしようと思う紫苑でした。  それに、余りの愛おしさに傍に居たい。  そういう欲も出てきたのも事実。 (これから始めることで、ある程度二人のことを理解できるかもしれない。それからどうするかをお互いに話し合えばいいよね)  なんだか言い訳じみた考えが駆け巡る。  考えを巡らせている間。  外ではアマランスの足元まで人が近づいてきていました。 「では、始めましょう」 「はい! 畏まりました!」
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