2 白きアネモネ(真心)の乙女

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2 白きアネモネ(真心)の乙女

 紫苑が死んで幾つかの時が過ぎた頃。  少しばかり日は傾き、夏の青空が(くれない)に燃え盛る空へと交わり始めようとしている。  辺りは静けさを掻き消すセミの鳴き声だけ。  静けさを掻き消しても、無人の寂しさを掻き消すことは出来ないでいる。  突然!  それは現れたのです!  現れる巨大な異物が寂しさをも掻き消す。  それは、水面(みなも)の上より浮かぶ(きら)びやかな光を跳ね返す(かすみ)ガラス。  それは真っ直ぐにそそり立つ巨大な(かすみ)ガラスの鏡。  高さ40~50m。  淡くそして冷たく景色を歪ませる(かすみ)ガラス。  ガラスから突如として浮かび上がる波紋。  波紋の芯より現れし巨大な手。  後を追う、(こうべ)。  続く、御御足(おみあし)。  そして、姿を現す五体。  ガラスを跨いで現れたその姿。
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