9 そして、アザミ(復讐)の声があげられる。

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9 そして、アザミ(復讐)の声があげられる。

 昼1時前。  巨人が12時に原子力発電所を占拠してから一時間が過ぎようとしていた頃。  とある街で、道行く大勢の人々。  ふと幾人かが足を止める。  何気なしに見上げる顔には怪訝な表情。  足を止め、見上げる者達の視線は同じ場所を指し示す。  それに気付き、足を止める者は、見上げる者達の視線を追いかける。  視線のその先。  仰ぎ見れば、街頭で宣伝する巨大なテレビジョン。  それは、そこだけでは治まらない。  子供が、連れ立って歩く母親の手を引く。  子供を見る母親が、その子が指差す姿を目に映す。  指さす方向は、ショーウィンドーに据え置かれたテレビモニター。  街中のあらゆる映像機器にそれは映し出されていました。  ざわざわと、風が唸るように静かに騒ぎ始める人々。  訝しむ感情は、人から人へと移り行く。  それは、その街だけでは有りませんでした。  全国のテレビ・パソコン・ケータイ。  街頭のスーパービジョン。  そしてテレビ局のモニター等映像が流れるもの。  その凡ての映像機器にそれは映し出されていました。  三人の少年。  二人の少女。  併せて五人の子供たちの顔が映し出される。  それは、突然の出来事。  一人づつ映し出されて、繰り返される映像。  五人の少年少女はみな14から15歳くらい。  さほど特徴がない普通の子供たち。  しいて言えば、みな性格がよさそうな顔立ち。  うまく育てればアイドルにしても良さそうな子供たち。  街行く人々は注視する。  家電量販店のテレビやモニター。  そしてスーパービジョン等。  目をやり立ち止まって、何事かとその映像を見つめ始める。  携帯を持つものはそれに目をやり。  パソコンをいじる者はモニターを注視する。  家にいる主婦が、テレビから流れる映像を見て、チャンネルを変えようと必死にリモコンをいじる。  老人夫婦は、茶の間で呆然とテレビを眺めている。  全国のすべての人たち。  みなが五人の少年たちが誰なのか解らずに見ていました。  唯、ただ事ではないという事だけは理解したようです。  そして、聞えてくる男性のこえ。  野太くも低くて威厳がある聲。  そのこえが、あらゆるスピーカーから聞こえてくるのでした。
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