秘めたるは花なり

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秘めたるは花なり

 ひとひら、ふたひら。  桜の花びらが、ちらちらと舞い落ちている。 「見て、唯人! すっごい! うもれちゃいそう!」  それは空から降ってきているようでずっと続くように思えた。  なるべくいっぱいの花びらを受けようと、わたしは掌を器にして掲げる。 「怜」  名前を呼ばれて振り向くと、一眼レフカメラを構えている幼馴染がいた。 「桜つもってる」 「ほんとう!?」  唯人に目をこらしながら降ってきた幸運をそっと捕まえようと頭上に手を伸ばすと、薄い花びらがぴったりと掌に張り付く。  思わず笑みを零す寸前、ストロボが光った。
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