ブラックルシアン

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「お兄さん! なんかだ良いモノぶら提げてるね」 突然声をかけられ我に返って振り返ると 黒とオレンジの迷彩柄ダウンベストを着た 子供が鯰の袋に顔を近づけて ニオイを嗅いでいた。 小学生か? 魚臭いだろうに、 この少年は良いニオイに感じるんだろうか? 「ねぇ、なんかお菓子ちょうだいよぉ」 入口の看板を拭いている珈琲店の店員に 同じく迷彩柄ダウンベストを着た少年が 人懐こくおねだりしている。 ん? もう一度振り向くと そこにはまだ袋の中身に 興味津々な迷彩柄を着た少年。 俺の事を見上げて「ニィ」と笑う。 「アレ僕の弟。そっくりでしょ? 僕たち双子なんだ」 そう言うと同じ顔をした弟の所へと 走って行った。 少年達は珈琲屋の店員に 何か話しかけている。 店員は黒いパンツに黒いベスト。 白いシャツに蝶ネクタイ。 黒のエプロンを腰に巻いて…… こういうのギャルソンとか言うんだったか。 センターでキッチリ分けた髪を さりげなくサイドに流した髪型が似合う 今時のシュッとした若い男だった。 店員の男は鬱陶しそうに 少年達に二言三言何か言うと 店の入口から店内に声をかけた。 すると店内から体の線がわかるような 色っぽいワンピースを着た女が 子供達にクッキーを渡して 「もう帰りなさい」と手を振った。   
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