26人が本棚に入れています
本棚に追加
1-お寺-
あれから一年。
私は大学受験を終え、大学一年生となった。
高校は、県内で一位二位を争う難関進学校に通っていた私だったが、色々あり大学受験は落ちまくった。
その話はまた後程。
とりあえず受かった私大に通いながら、私はお寺にもよく足を運ぶようになっていた。
今日も月初めのお講へと向かうため、私は朝から電車に揺られていた。
七月。真夏の太陽がさんさんと照りつけ、車窓の緑色の稲は波のように風に揺れている。
市街地から田舎へと向かうため、景色はだんだんと自然が多くなり、住宅街では滅多に見ることのない白鷺が、当たり前に大空を飛んでいる。
この季節、雑草が繁茂する。お寺も例外ではない。特に田舎ともなるとその量は膨大で、夏になると壇徒は月一で寺の草刈りを手伝うことになっている。
そして、今日は草刈りの日なので私は午前中に家を出たのだ。
最初のコメントを投稿しよう!