1-お寺-

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1-お寺-

 あれから一年。  私は大学受験を終え、大学一年生となった。  高校は、県内で一位二位を争う難関進学校に通っていた私だったが、色々あり大学受験は落ちまくった。  その話はまた後程。  とりあえず受かった私大に通いながら、私はお寺にもよく足を運ぶようになっていた。  今日も月初めのお講へと向かうため、私は朝から電車に揺られていた。  七月。真夏の太陽がさんさんと照りつけ、車窓の緑色の稲は波のように風に揺れている。  市街地から田舎へと向かうため、景色はだんだんと自然が多くなり、住宅街では滅多に見ることのない白鷺が、当たり前に大空を飛んでいる。  この季節、雑草が繁茂する。お寺も例外ではない。特に田舎ともなるとその量は膨大で、夏になると壇徒は月一で寺の草刈りを手伝うことになっている。  そして、今日は草刈りの日なので私は午前中に家を出たのだ。
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