12-勉強会-

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12-勉強会-

 そして、八月末。まだまだ暑い日々が続いている。四十度近くまで上がる気温に、テレビからは異常気象というワードが頻繁に聞こえた。  ギラギラと照りつける太陽と、じめっとした湿気で茹だるような暑さだ。少し外を歩いただけで、汗が吹き出して止まらない。  境内の雑草の繁茂も止まらない。この前綺麗にしたはずの場所も、見る影もなく鬱蒼と茂っている。  私はしゃがみこんで、雑草をひたすら引っこ抜いた。抜いても抜いてもきりがない光景に、目が回りそうだ。  それでも、引っこ抜く度に鼻腔をくすぐる湿った土の香りは好きだった。  土の中をよく見ると、ダンゴムシが棲みかを荒らされて大慌てしている。ごめんよと心の中で言いながら、私は黙々と手を動かした。  そろそろお腹が空いてきたなと思うと、境内に草刈りの終了を告げる太鼓の音が響き渡った。みな「疲れた」「もう終わりだってよ」などと言いながら、後片付けを始めた。  私も引っこ抜いた雑草の山をビニール袋いっぱいに詰め込んで、裏山へと棄てに行った。  軍手を外し、外の水道で手を洗う。ぬるいけれど少しだけ冷たい水が、汚れと共に疲れも流していくような感じがして心地いい。  暫くその感触を楽しんで、蛇口を止めてタオルで手を拭うと、顎からポツンと汗が滴り落ちた。  額から吹き出て輪郭を伝う汗を拭き取り、タオルを扇いで風を送ると幾ばくか涼しく感じた。
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