12-勉強会-

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 「あ、いずみちゃん!!」  彼の字に見とれていた私は、名前を呼ばれて我にかえった。「はい?なんでしょう?」と訊ねると、「泊まり?」と聞かれた。  どうしようか。泊まりたい気持ちは山々なのだけれど。  「...か、考えさせてください。」  少し決めるのに時間が掛かりそうだと思い、私は彼にそう答えた。  すると、彼は含みのある笑みを見せた。  「なんだよ~、すっぴん見せんのが嫌なのか?」  ドツボ突かれてしまった。私が反応したのを見て、彼は更にからかってくる。  「気にすんなって~。どっちかっつったら、すっぴんの方が長く見てきてるんだし~」  確かにそうなのだけれどと思っていると彼が私に顔を近づけた。意地悪な表情の、並びのいい白い歯が光る。  「それに...俺といずみちゃんの仲だろ~?」  そうやって、こっちの気も知らないで。私は少し彼にムカついた。動悸が速くなっているのは、きっとそのせいだ。  「はいはい。とにかく、考えさせてください。」  冷たく彼をあしらうと、「なんだよ、つれねえな~」と豪快に笑って、私の肩をバシバシと叩いた。  さて、どうしたものか。泊まりたい気持ちは山々だけれど、思いを寄せている人にすっぴんを晒したくない。  でも、彼の一言も一理あるのかもしれない。八年近くは、彼はすっぴんの私を見てきたわけだし。  でもやっぱり、その時とは状況がちがうんだよなあ!!!  帰りの電車でも、家に帰ってからも、私は暫く悩み続けた。
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