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「レオナ、君なのか?」  黒いダッフルコートの男が歩み寄ってきた。年の頃は十代後半だろうか。少女と同じように、首から古いカメラを提げている。 「まあ、もしかして弥彦様でいらっしゃいますの? まさか再びお目にかかれるとは……嬉しゅうございますわ」  少女も男の方に向き直る。 「僕もだよ。最後に会ったのは五十年以上前になるかな。相変わらず綺麗だね」 「あら、お上手ですこと。弥彦様もお変わりないようで何よりですわ。……それにしても、あれから世界は随分変わってしまいましたわね」 「まったくだよ。カメラと電話が一つになって、あのような薄い板に収められるとは思いもよらなかった。それでも、未だに昔ながらのカメラを好む人間もいるからね」 「ええ。時代が変わっても、変わらない人の心もあるということですわね。この子たちのように」 「そうだね。おっと、こちらの青年はお嬢さんに気があるようだね」 「お嬢さんもまんざらではなさそうですわ。同じようなカメラを持つ者同士、惹かれあうものがあるのでしょう」 「彼らが結ばれれば、僕たちもまた一緒に過ごせる日が来るかもしれないね」 「そうなれば素敵ですわね」
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