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「いつか君の職場に行ったことがあったよね
あの時も君がいると思ったらドアの前でドキドキして落ち着かせて入室したんだ
申請の事務処理をしている時に君が予想外な事を言ったよね
タオルが綺麗とかさ・・・
あれはビックリして、
「あげないよ」なんて言っちゃって
あとですごくおちこんだんだよ」
私は内心ビックリのし通しで
あんな顔色ひとつ変えていなかった人が
ココロの中は焦っていたなんて
しかも私の事を知っていたなんて
もっといえば一年前のビアパーティに私を見かけて
いて、何もアクションを起こさず
当時、確信したらしい状態に今、なっているとは
予知能力があるのか?
中田さんは私より5歳上で背が182センチもある
笑い顔はタレ目になって何とも優しそう
白Tにデニムが定番の人
ありがたい言葉だったけど父親の事を考えると
簡単に両手を広げて喜べず
お断りした方がいいと思った
「ありがとうございます
でもうちは父親が厳しくて多分無理だと思います
結婚だって、地元のうちと同業者の息子さんと
見合い結婚しなさいと昔から言われていていますので・・・」
面倒な事になるのは目に見えていた
中田さんはお付き合いさせて欲しいと何遍も
言ってくれて私もこの人なら何とかなるかも
知れないと思い始めた
父親には言わぬまま、その後は楽しくドライブとかしてお付き合いしていた
箱根に行った時、高台から眺める紅葉が素敵で
中田さんから初めてぎゅーっと抱きしめられた
「すごくシアワセだよ」
背中に回した指に力が入るのがわかった
私も温かい気持ちになった
「どこかで休んで行く?」
「・・・・・」
「嫌?」
「ん」
「そっか、わかった、じゃあ、帰ろ」
子どもみたいなこと言うな
と、言われそうだけど私はそういう部分は子ども
なので正直に答えた
その後も中田さんは変わらずにいてくれた
2、3ヶ月経ったある日
中田さんが
「ぼくは君と結婚したいけど君は?」
私もそういう気持ちになっていた
「お父さんに会いに行くよ
そして君をくださいってお願いする」
「うーん、父親は誰がきても会わないと言ってる」
「それはわかってるよ
だから何回もお願いにいくんだょ
予定を聞かないでいきなりいく方がいいと思う」
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