乗客1

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夫 喜一が帰ると屋敷の電気がついていない。ドアを開けても出迎えがないことに不振に感じた 「おい絹代ー美香ー」 薄暗い廊下を進み 薄明かりが見える武夫の部屋のドアの前で絹代がぼーと立っていた 傍らに娘が彼女のスカートの裾をつかんで指をくわえている 「どうした?一体」 絶望にくれる絹代の視線の先はベビーベッドに注がれ 中では目を見開いた武夫が亡くなっていた 「…おまえ まさか」 その声に絹代は崩れるように泣き出した
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