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列車のなかでポタリポタリと涙を流す絹代に 喜一はハンカチを取りだし渡した
「武夫は事故死扱いになったし 君は早く忘れてたちなおってくれ」
「ごめんなさい」
むせびなく絹代はハンカチで顔を抑え嗚咽した
「しかし…武夫の部屋の異変は何だったんだ」
そう喜一が呟くと
「あたしがやったの」
窓を眺め無邪気に笑う美香がそう答えた
「…美香どうゆうことだ」
喜一が呆然と娘を見つめ 絹代もハンカチから顔をあげると
美香は満面の笑みで振り返ると
「だって あの子が産まれてから お母さん私にかまってくれなくなったから 部屋をめちゃめちゃにしてやってたの」
そうか…庭の男たちも飯使いも怪しい人物は入ってないと言っていた…だが実際は出入りしていたのだ
怪しい人物という概念ではない娘が…
「でも良かったーあの子いなくなって お母さんがあの子の首をしめてるとこ見て最高に嬉しかったよ」
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