乗客1

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最初の異変は 息子武夫の部屋の物が散乱しているのを見かけるようになった事だ 絹代はすぐに飯使いを呼びつけ 怒鳴った 「武夫はうちの大事な跡取りよ 掃除の怠慢なんて飯使い失格だわ」 「誤解です 奥様 武夫坊っちゃまの部屋は毎回念入りに…」 飯使いの魂胆はわかっている 自分より若く成り上がりな私に嫉妬しているのだ 絹代はそう感じていた 「言い訳は結構 今度見かけたら主人に言ってクビにするから」 そう厳しく告げると舞踏会に出ていった しかし帰って武夫の部屋を覗くと 先ほど見た時より物が散乱していた
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