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「いくら医官たちを責めたところで、父上は最早生き返らぬ。たとえ、彼らを殺したとしてもだ。違うか?」
「い、いいえ、ですが」
「ならば、私はせめて真相を知りたい。コレが単なる医療過誤だったのか、それともほかに何らかの理由があるのかどうかを、だ」
大臣たちは、今や皆、俯いて視線を泳がせていた。
ここにいる全員が、ホンウィの倍以上は長く生きているクセに、反論が尽きるのが早過ぎる。
「この場で議論を尽くすことで真相が分かると申すなら、気が済むまで続けるがいい。私は私でやらせて貰うことにしよう」
きびすを返したホンウィの背に、泡を食ったような叫びが追い縋る。
「殿下! 恐れながら、一体何をなさるおつもりで!?」
「殿下は殿下で、とは如何なる意味でしょう!!」
「そうしたことは我々にお任せになって……」
「どうかお考え直しくださいませ、殿下!」
「黙れ!」
鋭く一喝すると、またしても大臣たちが一斉に口を閉じた。
「私が何をしようとしているか、説明されぬと分からぬのか! そなたたち、私の何倍生きている!? バカの一つ覚えのように、私に『考え直せ』と叫ぶ前に、己の頭で考えよ!!」
――第一、俺が今さっき何て言ったか、もう忘れたのか! 相手の言ったことが脳内素通りするなら、早々に辞職願でも提出しやがれッッ!!
と続けたい衝動を、拳を握り締めることでどうにかねじ伏せ、ホンウィは今度こそ広場をあとにした。
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