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瞬間
「お前ら!練習戻れ!!」
そう大きな声を出して後輩達を練習へと戻す。
「はーい」
彼らは小走りで戻りながら愚痴をこぼしていた。
「咲坂先輩、きびしくねー?」
「だよな。言い過ぎなトコあるよなー」
次々に彼らが愚痴をこぼしていた所に
「でもさー」
と1人、会話に割って入ってきた。
「咲坂先輩、この前、こんなこと言ってたんだ-」
「え。何?何?」
彼らはその話に興味を持った。
「俺があの日、精神的にまいっててさ、試合で勝てなくて泣いてたんだ。まぁ、その時も案の定厳しかったんだけど、その時は咲坂先輩が来て、謝ってきたんだ。」
「え、何て?」
「『きつく言い過ぎたな、すまない。
お前に少しでも上達してほしくて、、、出しゃばりすぎたな、ホントゴメン。』
そう言って、先輩、俺の頭なでて側にいてくれたんだ。
まぁ、そんときはびっくりしすぎて何も考えられなかったけど、先輩が厳しいのって俺達のためだったのかって思ったらさ、何か憎めないって言うかさー。」
少し照れながら言うと、聞いていた部員1人が口を開いた。
「お前はさ、先輩と中学から一緒だし、特別なんじゃね?」
少しからかうようにして言うと
「かもね。まぁ、先輩の優しさは俺だけがわかってればいいしー?」
そのからかいに乗っかるようにして言う。
「こいつー!!恥ずかしくねんか!」
「こっちが照れるわ!」
って彼の背中を叩く。
すると目の前の土の色が濃くなり、顔を上げると
「お前ら!喋る時間あったら真面目に練習やれ!」
咲坂先輩・・・
みんなは逃げるようにして練習する。
1人を除いては・・・。
あれ?いつもなら目が合うはずなのに・・・。
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