ご褒美。

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ぼんやりと考えていたら 「佐藤さん」と急に名前を呼ばれた。 ビクッ!! 慌てて退職届けをカバンの中にしまった。 「は、はい」 振り向くと昨日 仕事の代理を頼んだ同僚の女性だった。 「お、おはよう…ございます」 「おはようじゃないわよ。 昨日の代理のお陰で彼氏と待ち合わせ遅れて 大変だったんだから」 どうやら怒っているようだった。 えっ? 「あの…すみません。 ご迷惑をおかけしまいました」 申し訳なさそうに頭を深く下げる。 「本当…たびたびこっちに仕事が回って来て 困るのよねぇ~家の用事か何か知らないけど やる気が無いなら辞めたら?」 そう冷たく言い放たれる。 耳が痛い話だ。 迷惑をかけてる事は、十分に分かっている。
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