プロローグ。

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鏡を見ると 知らない自分が映っていた。 〝麻生真央〟の役柄のために 髪を茶髪のウィッグにして 化粧もバッチリしてある。 これが…今の自分? その時、望月さんの言葉を思い出した。 「失敗する事ばかり考えるな。 演じる…お前は〝麻生真央〟として 楽しんで演じて来い」 私は…今は、麻生真央なのだ。 自分ではない別の自分。 そして、女性記者の自分。 女性記者だったら…あの時は、 どんな気持ちだったのだろうか? グッと決意をして考える。 もし私があの女性記者だったら どうしていた? 背中を押してくれた望月さんのためにも 私は、必死に考えた。 そして、しばらくして 控え室に戻ると皆が移動している最中だった。 慌てて私も移動する。 (危なかったわ…) ふぅ…と深呼吸をして列に並ぶと 関係者の人が 「それでは、演技の審査に入らせてもらいます。 今回は、相手方も必要のため特別に この方を通してやってもらいます」 そう言って現れたのは…。
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