プロローグ。

3/27
570人が本棚に入れています
本棚に追加
/332ページ
まぁ、もう言われ慣れたけど……。 書類を受け取り見ていると 向こうからコソコソと話し声が聞こえてきた。 「ねぇ今、課長に 地味佐藤とか言われそうになってたわよ?」 「聞いた~まぁ、あれでは言われても 仕方がないわよねぇ~」 クスクスと笑いながら こちらをチラチラ見てきた。 噂話をしたいのなら 私が居ない所でやって欲しいわ。 私だって地味に OLになりたかった訳ではないのに。 神様は、不公平だわ。 何故もっと可愛く生ませてくれなかったの? もっと歌が上手かったら…今頃 テレビで観たあんな華やかなステージで 踊れていたのに。 パソコンを打ちながらそんな事を考えていた。 しかし、だからと言って挫折をした訳ではない。 人見知りの割に意外と諦めが悪い性格のため まだ夢を諦めて無かった。 もうアイドルと言える年ではないけど せめてシンガーソングライターになりたい。 そう思い何曲か作詞作曲した。 仕事が終わると着替えて 夜の街に出ては、ストリートライブも行う毎日。 ストリートライブは、 少しでも人見知りやあがり症の性格を治すために 精力的にやっていた。 と言っても こんな姿を会社の人に見られたらいい笑い者だ。 せめてデビューするまで 周りに気づかれないようにしよう。 そう思いたびたび変装をする。
/332ページ

最初のコメントを投稿しよう!