571人が本棚に入れています
本棚に追加
まぁ、もう言われ慣れたけど……。
書類を受け取り見ていると
向こうからコソコソと話し声が聞こえてきた。
「ねぇ今、課長に
地味佐藤とか言われそうになってたわよ?」
「聞いた~まぁ、あれでは言われても
仕方がないわよねぇ~」
クスクスと笑いながら
こちらをチラチラ見てきた。
噂話をしたいのなら
私が居ない所でやって欲しいわ。
私だって地味に
OLになりたかった訳ではないのに。
神様は、不公平だわ。
何故もっと可愛く生ませてくれなかったの?
もっと歌が上手かったら…今頃
テレビで観たあんな華やかなステージで
踊れていたのに。
パソコンを打ちながらそんな事を考えていた。
しかし、だからと言って挫折をした訳ではない。
人見知りの割に意外と諦めが悪い性格のため
まだ夢を諦めて無かった。
もうアイドルと言える年ではないけど
せめてシンガーソングライターになりたい。
そう思い何曲か作詞作曲した。
仕事が終わると着替えて
夜の街に出ては、ストリートライブも行う毎日。
ストリートライブは、
少しでも人見知りやあがり症の性格を治すために
精力的にやっていた。
と言っても
こんな姿を会社の人に見られたらいい笑い者だ。
せめてデビューするまで
周りに気づかれないようにしよう。
そう思いたびたび変装をする。
最初のコメントを投稿しよう!