プロローグ。

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時には、派手な感じに金髪ウィッグで 化粧を濃くしてみたり 時には、個性的な格好から大人女子風に 挑戦してみたりいろんな役柄を使い分ける。 そうすると意外と役に応じて 雰囲気や歌声を変えてみたり いつもと違う私になれた。 今の私は、 〝地味佐藤〟と言われた佐藤真央ではない。 別の私。 人は、あまり集まる訳ではないけど こんな自分は、嫌いではなかった。 今日は、派手なヤンキー系になりきって ギター片手に歌っていた。 そうすると遠くの方から、こちらを見ている 男性に気づく。 (あれ…?あの人…この前も見ていた人だわ) 最近駅近くの路上で歌うと 必ずっていいほど現れるようになった人物だ。 黒いサングラスにスーツ姿。 顔が分かりにくいけど年は、 20代後半ぐらいだろうか? いかにも怪しい感じの男だった。 これが、何処かのプロダクションの スカウトマンとかだったらいいけど 怪しい奴なら関わらない方が身のためだわ。 そう思い気づかないフリをして歌い続ける。 歌い終わると軽い口調で 挨拶してギターを片付けようとした。 そうしたら 「ねぇ、君。 ちょっと話しを聞かせてもらってもいいかな?」 あの怪しい男が私に声をかけてきた。
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