某日の夢1

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某日の夢1

 別に漱石のフォロワーじゃない。だがこんな夢だった。  平屋にいた。それは明らかに平屋だった。平屋以外の何物でもなかった。べたんとその巨体を地面におしつけて、何が不満なのか本人すらわかってないような顔をしてそこにあった。平屋の主は小説家だった。  大きな平屋だった。住んでいる人間ですら、その場所のすべての部屋を知らないだろうと思うくらい、大きな平屋だった。玄関から入って勝手口にたどり着くまで何日かかるか、私はまだ試していない。試していないが、そうだと分かった。それくらい大きな平屋に、小説家の先生……歳はいくつだろう。50は越えていたように感じる……と、その若奥様が、現在進行形で住んでいる。私はここの有り余っている部屋のうち一つを借りている書生だった。書生だから、私は玄関の前、境内よりも外にポツネンと立っていた。     
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