銀杏の木

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俺は聞いた。由美はなにも言わない。5秒くらいの不思議な時間が俺にははっきりと覚えている。あの5秒で何枚の銀杏の葉が落ちただろう。そのくらい長く感じたように思う。由美は久しぶりに声をだしたのか痰が絡まったような声をだし2回咳払いをして、一言ごめんと笑ってもう一度話始めた。 「巧くん銀杏の花言葉って知ってる?」 由美は笑顔で話した。俺は由美が好きだ。同じクラスになってからこの笑顔だけは誰にも負けないと思っていた。 俺は知らないと由美に伝えると、由美はまた笑顔でそっかと言った。すると体育館から俺を呼ぶ声が聞こえたので由美にじゃあなといって別れた。そのときの由美の表情はもう覚えていない。     
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