銀杏の木

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「「巧くん。この手紙を読んだってことは私が巧くんに告白される前に死んじゃったってことかな。 実は私、心臓の持病があったの。これはもうずっと前から。だから私は巧くんが悲しまないように告白しなかった。いつこうなっちゃうかわからないから。でも、あなたの方から告白してくれれば喜んでOKしたよ!。 実はね私は小学校の頃から転校するまでずーっと巧くんのことが好きだったの。でも、巧くんは告白してくれなかった。さようならも言ってくれなかった。だから私嫌われてたのかもなーって自己完結してた。 でも、大学入って巧くんと会ったとき巧くんから子供の頃好きだったって聞いてとっても嬉しかった。私は恥ずかしいからなにも言わなかったけどね笑。最近、体の調子が良くないから、万が一のためにこの手紙かいてるけど、巧くんが告白してくれたらすぐに捨てちゃお。恥ずかしいし。あと!あの写真!私のこと撮ったでしょ!!笑恥ずかしいな!。 でも、これを見てくれてるなら最後にいうね。 巧くんは長生きしてね。 銀杏の花言葉は"長寿"だよ! 私も長生きしたい。 由美」」 俺は泣いた。まるで海に溺れたかのように口にはいる涙はしょっぱい。目からは涙か溢れて前が見えない。 俺はまた言えなかった。 ほんとに小心者だ。 そして今日由美の葬儀がある。 壁からあのとき撮った写真を取った。由美の後ろ姿はとても生き生きしている。長寿の木の隣であとわずかな命を存分に輝かしている。 俺は、今日、由美にさようならと言えるのだろうか。
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