見えない鎖

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瀬戸さんの部屋は以前と変わらない 中に入っていくのが怖くて 瀬戸さんの胸に顔を埋めて、視界を塞ぐ 瀬戸さんの匂いが俺を包み込んでいく その匂いは 震えるほどの恐怖と共に、なぜか安らぎを与える リビングに着くと、ソファの上に優しく降ろされた 瀬戸さんは震える俺の頭を撫でると 隆:お風呂いれてくる そう言ってリビングから出ていく 同じ空間から解放されて やっと深く息をすることができる 仁:っは…は…もう、分からない 自分のことが分からない 隆:仁君 いつの間にか、近くに立っていた瀬戸さんに 驚いて叫びそうになる 仁:っつ、瀬戸さん… 瀬戸さんは手を差し出してくる
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