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1.転校生ひなた
「ひなたーひなた!大好きだよ」
アラームが鳴り出し私は、はっ!と目を覚ました。
夢の中で男の子が私のこと...?
「ひなた??起きたなら朝ごはんあるから早くおりてきなさい。」
お母さんが下で私を呼んでいる。
私はぼんやりとした頭で新しい制服に着替えた。
今日から学校が変わる。お母さんの実家に引っ越すことになった。
ブレザーに手を通すと前の学校を思い出して涙が出てきた。
「ダメだダメだ!古城ひなたいっきまーす!!」
大声で叫び髪を結んだ。
いつもより高い位置に。
朝食を終え家を出た。
昨日確認した道を一歩一歩確かに歩んでいく。
初めての通学路。初めての学校。ものすごくワクワクする。
しかし、そのワクワクは、学校についたと同時に緊張に変わった。
担任の中本先生にHRの時間に紹介してもらった。
前の学校より人が多くすごく緊張した。
「それじゃ古城なにか一言。」
私はその言葉で頭が真っ白になった。
「古城ひなたです。わからないこといっぱいありますがお願いします。」
私は頭を深く下げた。が、顔をあげにくくなってしまった。
恥ずかしい。その言葉が頭の中をぐるぐる回る。
「いつまでそうしてるんだよ」
と男の子が笑いながらいった。
すると、クラス全体が笑いにつつまれた。
やっと顔をあげれた。謎の安心感につつまれている私に先生は
「席は雨月 優の隣だ。」
といい指を指した。
雨月君はまだ来てなくぽつんと机が寂しそうに2つ並んでいる。
私は自分の席につくと机にこれからよろしく。と心の中で呟いた 。
転向してから最初の授業は数学だった。
私の嫌いな教科だった。
「じゃ、転校生の古城にといてもらおうか。」
先生のバカ...。なんで私をあてるのよ。
そう思いながら教科書に目を落とした。
すると
ガラガラガラ...。
扉の開く音が聞こえた。
みんなの目が扉へ行く。
「おい、雨月。また遅刻か...。」
先生はため息混じりにそう言った。
雨月君はぺこりと頭を下げて自分の席についた。
みんなは慣れているのでいつも通りに授業をうける。
何事も無かったかのように。
みんな気にしていない。
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