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獣サイレンじゃなくなったノインは泣き止んだからと言って静かになったわけじゃなかった。
いかに自分が不安だったか怖かったかを訴え、その責任は全て僕にあるとブチ切れた子犬みたいに叫んでいる。
僕はそれを聴き流しながら目をこすった。
兄さんに会ったとき指摘されないように。
「で、このままかえるの?」
「かえるわよ!!」
「にぃたんにはあわないの?」
泣いて怒って忙しいノインは大好きな兄に会えるかもしれないと知ると機嫌を直した。
行き先も知らないクセに僕の腕を引っ張って、今度はどこに連れて行くつもりなんだろう。
「ノイン、そっちじゃない」
「よびすてにしないで!」
「めんどくさぃ」
「もぉぉぉぉ!!!」
その後
ノインが耳まで真っ赤にしていたのは怒っていたからなのか、実は嬉しかったのかは知らない。
……たぶん怒ってたな。これは。
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