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泣いているノインを見つめながら考える。
考えて、考えて、考えて、
答えが出ないから僕も一緒に泣くことにした。
別に、泣きたかったわけじゃない。
怖いわけでも悲しいわけでもない。
だけどなぜか、目の奥が熱くて
せめて声は出さずに泣こう。
本当は朝からずっと不安だった。
知らない知識が流れ込んだとき、僕じゃない僕が目覚めたようで。僕は僕なのに僕じゃなくなったような気がして。
泣いて、少しスッキリした。
だから分からなくても良いから現状を受け入れて前に歩きだすことにした。
「よし!ノインちゃん、帰るよ!」
「ぶぇぇ?……知らないってい"っだぁぁ!!」
「……村まではわかるよ(自信ないけど)」
「うぞづぎぃぃぃ!!」
「ノインちゃんの家は知らない」
「はやくしなさいよぉぉ!ばかぁぁぁ!!!」
自分の中で考えがまとまってスッキリした僕は 獣サイレン を連れて森を出た。
僕が兄さんに持つ感情……それはまだ分からない。
でも今はまだ分からなくて良いと思うんだ。
それから
もし、本当に迷っていたとしても
子供の足で行ける範囲内で、しかも獣サイレンが鳴ってるんだからすぐに見つかっていたと思う。
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