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父と娘の間には、特別な絆があるようにみえた。 僕が娘を連れ実家に戻ったのは、娘が4歳のときだった。 娘は実家近くの幼稚園に転園し、展覧会で何かを作っていると嬉しそうに話していた。僕たちが「何を作っているのか?」と聞くと、娘は得意げに言った。 「あのね、こりきを作っているんだよ!」 当時、力道山のモノマネ芸人のこりきさんがブレイクしていたこともあり、僕たち家族は幼稚園でもそういうこともあるのかと思い、それから毎日娘が幼稚園で作っているという「こりき」の制作進捗の報告を楽しく聞いた。 展覧会当日が来て、僕は娘と共に父、母と幼稚園に行くと、そこには娘が作ったという等身大の・・・「きこり」があった。 いくら何でも幼稚園の展覧会でパンツ一丁のこりき人形を作るなど、考えてみたらおかしなことなのだ。僕たちは娘の可愛い言い間違いに、笑ったのだった。 その後、等身大のきこりは長く父の仕事場に飾られることになる。その人形が13年経った今でも父の仕事場にある事を思えば、父がどれだけ孫を可愛がっていたのかが伺える。 他にも父と娘の絆エピソードは多々ある。     
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