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長渕剛さんが大好きだった父は娘とふたりDVDを見ながら、テレビの前でふたりして「なーがぶちっ!なーがぶちっ!」と拳を振り上げ良く大騒ぎしていたものだ。その影響で、娘は小学校低学年の時には、長渕剛さんの歌を何曲も完璧に歌いこなすまでとなった。 父は昔から自分のバイク仲間と僕たち家族が関わる事を、あまりよしとしない人だった。にも関わらず、娘だけは違った。仲間たちとの輪の中に自ら幼かった娘を呼び、膝の上に乗せて笑っていた。その結果娘も自然に父の友人達と仲良くなり、友人達も娘を可愛がってくれた。今現在、僕が父の友人達と普通に会話が出来るのは、父のこうした行動がきっかけで娘が架け橋となったからだと思う。 娘は自分と父のことを、大好きなアニメのキャラクターになぞらえて、「まる子と友蔵みたいだね」とよく父に言っていた。父もそう言われるのが満更でもないらしく、「そうかぁ、友蔵かぁ」などと言って笑っていた。結局この「まる子と友蔵」の関係は父が生涯を終えるその瞬間まである種の絆となることとなるのだが、それがこれからの娘の人生にどの様な影響を与えるのか、僕にはまだわからない。     
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