12人が本棚に入れています
本棚に追加
「動画投稿者になってひと稼ぎしようと思うの」
とある日の昼下がり。
勉学が本業である学生に与えられた昼休みという束の間の休息を楽しんでいると、隣に座っていた我が双子様、解野楓は唐突にそう言った。
「また始まったよ…急な謎宣言」
そう呟いたのはクラスメイトの青山だ。
いつも愛飲している紙パック牛乳のストローを咥えて飲むと、その賜物でもあろう大きな胸を前に腕を組んだ。
「いやいや、今回は本気だって。だからあからさまにめんどくさそうな顔しないでくれる?」
「そりゃ青山もそんな顔するさ。お前が何かしようとして実際に被害を被るのは俺か青山だもん」
言い合う二人の間に俺は割って入る。
言い方からわかると思うが、楓が何かを宣言するのは今に始まったことではない。
度々、その溢れる発想力を発揮して俺と青山を振り回していたのだ。
それ故に、俺と青山のリアクションは薄い。
「それで?どうして動画投稿者になろうと思ったんだ?」
めんどうと言っておきながらしっかりとその理由を聞いてあげる青山。
本人は知らないようだが、この優しさこそが彼女がクラスのアイドルとして扱われている所以だ。
あ、もちろんおっぱいも理由の一つではありますが。
「金」
「夢も希望もねぇな!」
「でもまあ唐突になりたいって言い出す奴は大半がそれ目的だよな。俺もお金が貰えるならやりたいし」
「みのりはお金欲しくない?」
「そりゃあ…まあ、あれば困らないケド…」
最初のコメントを投稿しよう!