0人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
この本の秘密
「何…?これ…」
埃のかぶった本棚の奥に、隠すように1冊の本が置いてある。
何となくその本を取り出すと、久しく触られていなかったのか、埃が宙を舞った。
「ゲボッ…
もー婆ちゃん、ちゃんと掃除しなよ…」
婆ちゃんといっても実の祖母ではない。
近所に住む高齢の女性で、非常に変わってる人なのだが、とても面白くて、妙に気が合うのだ。
歳の離れた友達といったところか。
孫くらい歳が離れてそうだが。
こうしてたまに遊びにきては、好きな本の話をしたり、お茶をしたりしていたのだが、数ヶ月前に婆ちゃんが病気で入院してしまってからは、言われた本を取ってきたり、小間使いをさせられている。
今も持ってこいと言われた本を探していた最中に、この不思議な本を見つけたというわけだ。
ひとしきり埃が取り除くと、しげしげと本を見つめた。
変な本…
本を上から下から、様々な角度で見ていたマナは、そんな感想を抱きながらまた再度本を見つめた。
表半分真っ黒なのに、裏半分が真っ白で、タイトルも何も書かれていない。
中を開いても、やはり真っ黒で何も書かれていなかった。
そのくせノンブルだけが角に記載されているので、ページ数だけはわかる。
白いページが出るまでペラペラめくると、128ページのところでようやく白いページが出てきた。
が、何も書かれていない。
ただただ白いページが続いている。
「何この本…
本…なのかな? ノート??
でもノートにページ数書いてあるってちょっとおかしいし。
なんていうか…さすが婆ちゃんの持ち物だなぁ」
変わり者の婆ちゃんになんだかピッタリの本だと思ってしまった。
「…これも一緒に持っていって、これが何なのか聞いてみよ」
好奇心旺盛な私は、その本に興味が湧き、頼まれた本を揃えると、一緒にその本も持ち帰った。
最初のコメントを投稿しよう!