この本の秘密

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この本の秘密

「何…?これ…」 埃のかぶった本棚の奥に、隠すように1冊の本が置いてある。 何となくその本を取り出すと、久しく触られていなかったのか、埃が宙を舞った。 「ゲボッ… もー婆ちゃん、ちゃんと掃除しなよ…」 婆ちゃんといっても実の祖母ではない。 近所に住む高齢の女性で、非常に変わってる人なのだが、とても面白くて、妙に気が合うのだ。 歳の離れた友達といったところか。 孫くらい歳が離れてそうだが。 こうしてたまに遊びにきては、好きな本の話をしたり、お茶をしたりしていたのだが、数ヶ月前に婆ちゃんが病気で入院してしまってからは、言われた本を取ってきたり、小間使いをさせられている。 今も持ってこいと言われた本を探していた最中に、この不思議な本を見つけたというわけだ。 ひとしきり埃が取り除くと、しげしげと本を見つめた。 変な本… 本を上から下から、様々な角度で見ていたマナは、そんな感想を抱きながらまた再度本を見つめた。 表半分真っ黒なのに、裏半分が真っ白で、タイトルも何も書かれていない。 中を開いても、やはり真っ黒で何も書かれていなかった。 そのくせノンブルだけが角に記載されているので、ページ数だけはわかる。 白いページが出るまでペラペラめくると、128ページのところでようやく白いページが出てきた。 が、何も書かれていない。 ただただ白いページが続いている。 「何この本… 本…なのかな? ノート?? でもノートにページ数書いてあるってちょっとおかしいし。 なんていうか…さすが婆ちゃんの持ち物だなぁ」 変わり者の婆ちゃんになんだかピッタリの本だと思ってしまった。 「…これも一緒に持っていって、これが何なのか聞いてみよ」 好奇心旺盛な私は、その本に興味が湧き、頼まれた本を揃えると、一緒にその本も持ち帰った。
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