【一の巻】華と月

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 月を眺めていた清月は柳眉をしかめ、意外そうに鬼伯(きはく)の困惑した顔を見上げた。けれど口元にはからかうように薄い笑みが貼りついている。 「どうした? お主らしくない」  鬼伯はきまり悪そうに頭を掻き肩をすくめた。 「いや……オレとしては、あんな弱小忍軍の依頼を受けても、大した報酬がもらえるとは思えねぇんだ。なぁ、清月。今回の仕事、忍軍潰しだろ? はした金で見合う仕事じゃねえよ。  危ない橋を渡った挙げ句、結局一文にもならなかったらどうするつもりだ。だったら最初っからやめたほうが、利口ってもんだろ」
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